「内申5が取りづらい」学校があるのはなぜ?

当塾には、清瀬市・新座市・東久留米市を中心に、多くの中高生が通っています。保護者の方から、こんなご相談をいただくことがあります。

  • 定期テストでは高得点を取っているのに、なぜ評定が上がらないのでしょうか?
  • 90点以上を取ったのに4のままでした…
  • 100点を取ったのに5になりませんでした…

保護者の方からすれば、「これだけ点数を取っているのだから、評定も上がるはず」と考えるのは自然なことです。生徒本人にとっても、頑張って結果を出したのに通知表の数字が変わらなければ、「これ以上、何を頑張ればいいのだろう」と感じてしまうことがあります。ただ、現在の中学校の評定は、昔のように「テストで何点取れば5」という仕組みではありません。そして実際には、学校によって「5」のつき方にも違いがあります。

この記事では、「なぜ高得点を取っても評定が上がらないことがあるのか?」「なぜ学校によって”5”の取りやすさに差があるのか?」そして、そうした評価と中高生はどう向き合えばよいのかについて考えていきたいと思います。

まず、現在の通知表の基本的な仕組みを確認しておきましょう。現在の中学校では、他の生徒と比較して成績を決める「相対評価」ではなく、学習指導要領に示された目標に対して、どこまで到達したかを見る「目標に準拠した評価(絶対評価)」が採用されています。極端にいえば、全員が十分に目標へ到達していれば、全員に「5」がついても制度上はおかしくありません。

 


実際の「5」の割合は学校によって違う

東京都教育委員会は、都内公立中学校の評定状況を毎年調査し、学校別・教科別の評定割合も公表しています。令和8年度入学者選抜に用いられた評定を見ると、東京都全体で「5」がついた割合は、9教科全体で12.3%でした。同じ東京都内でも、ある学校では「5」の割合が高く、別の学校では低い、ということが実際に起こっています。

・都道府県によっても大きく違う

東京都と千葉県を比較すると、さらに大きな差が確認できます。千葉県教育委員会が公表した令和8年度入試の調査では、県内363校の中学3年生について「5」の割合は次のようになっています。9教科を単純平均すると、約26%です。東京都が約12%ですから、千葉県では「5」の割合がおおむね東京都の2倍あります。


なぜ、このような違いが生まれるのか?

私は、その理由の一つに「学校によって生徒集団が異なる」ことがあると考えています。例えば数学の定期テストを考えてみましょう。学習内容の理解が非常に進んでいる生徒が多い中学校で、教科書の基本問題だけを中心にテストを作ったとします。すると、「90点以上が非常に多い」など、生徒間の理解度の違いが測りにくいという状況が起こります。これでは、教師としても生徒の到達度を十分に把握できません。そこで、「文章を読み取って立式する問題」「複数の知識を組み合わせる問題」「初めて見る設定の応用問題」などを増やしていくことになります。一方で、基礎的な内容の定着に課題がある生徒が多い学校で同じテストを実施したら、多くの生徒がほとんど点を取れなくなってしまいます。つまり、学校現場ではどうしても、生徒集団の実態に合わせて、テストや評価課題の難易度を調整するということが起こります。


変えられないことと、変えられることを分ける

相手が自分をどう評価するかはコントロールできません。でも、その評価を受けたあとに、自分が何をするかは変えられます。結果そのものは変えられなくても、その経験をどう受け止め、何を学び、次にどう生かすかは自分で決めることができます。大切なのは、判断の軸を他者の評価だけに置かないことです。「5をもらえたから自分はできる」「4だったから自分はだめだ」と考えるのではなく、昨日の自分と比べて、何ができるようになったのか、何を理解できるようになったのかを自分で確かめる。そこで生まれる自信は、「自分で考えて、自分で修正して、自分で前に進める」という感覚です。この感覚が少しずつ積み重なると、学習に対する姿勢も変わってきます。「先生に評価してもらうために勉強する」のではなく、「自分の学びは、自分で創っていく」というオーナーシップが生まれます。他者の評価を無視する必要はありません。評価は、自分の現在地を知るための大切な材料です。でも、その評価を最終的な答えにしない。評価を受け取ったあとに、「では、自分は次に何をするか」を自分で決める。私は、その力こそ、大人になる過程で少しずつ身につけてほしい力だと思っています。

 


「5」が取りづらい学校で、どうすればよいのか

評定は主に、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点をもとに判断されます。そのため、定期テストで高得点を取ることは大切ですが、それだけで「5」が保証されるわけではありません。大切なのは、その学校・その教科で、何が評価されているのかを把握することです。

特に確認したいのは次の点です。

  • 定期テストでは、知識問題(知識・技能)と応用問題(思考・判断・表現)がどの程度出るのか
  • 「思考・判断・表現」は何によって評価されているのか
  • ワークやレポートでは、何を書けば高く評価されるのか
  • 授業中の活動や振り返りは、どのように評価されるのか
  • テストで間違えた問題にはどのような傾向があるのか
  • 観点別評価でAになっていない部分はどこなのか

もちろん、高校入試を考えれば内申は非常に重要です。しかし、本来目指すべきなのは「先生から5をもらうための行動」ではないと思います。今の中学校の学習は、『覚える → 再現する』だけではなく、『読む → 理解する → 考える → 表現する → 振り返って改善する』方向へ変わっています。だからこそ、「提出物を出せばいい」「授業中に手を挙げればいい」「テストで90点を取ればいい」という単純な攻略法ではなく、自分が何を理解できていて、何をまだ理解できていないのかを把握し、自分自身で学習を改善していく力を身につけることが、結果的には評定を上げる一番の近道になります。中学校によって「5」の割合に違いがあることは事実です。だからこそ、数字だけに振り回されるのではなく、自分の学校では何を学び、何を評価されているのか。そこを丁寧に見ていくことが、現在の中学生には必要なのだと思います。