数学を学ぶ”本当の意味”とは?

—あなたはこの問題を解けますか?

【問題1】バットとボールは合計で1100円です。バットはボールより1000円高い。ボールはいくらですか?

 

「ボールは100円でしょう。簡単じゃん」と思った人は多いのではないでしょうか?

しかし、答えは100円ではありません。なぜでしょうか?

 

仮にボールが100円だとすると、バットは1,100円になります。すると、合計は1,200円になってしまいます。

多くの人が最初に「100円」という答えを思いつきます。このように、問題を見た瞬間に、経験や感覚をもとに答えを判断することがあります。これを「直観」と呼びます。直観は、素早く判断するために役立つ一方で、ときには誤った結論に導くこともあります。では、「直観的に思いついた答えが正しいかどうか」どのように確かめればよいのでしょうか。ここで役立つのが、「推論」です。例えば、ボールの値段を仮に決め、バットとの値段の差が1,000円になるか、さらに合計が1,100円になるかを確かめます。つまり、問題文の条件を整理し、筋道を立てて考えることで、正しい答えにたどり着くことができるのです。これが数学を学ぶ意味なのです。


 

数学的に考えるとは、「直観を疑い、筋道を立てて考えること」

大切なのは、単に正解を出せたことではありません。直観的に思いついた答えをそのまま受け入れるのではなく、「本当にそうだろうか?」と問い直し、根拠をもとに確かめることです。これは、これまで述べてきた「数学を理解すること」とも深く関係しています。数学では、答えが合っているだけではなく、「なぜその答えになるのか」を説明できることが重要です。そのためには、与えられた条件を整理し、適切な知識を使い、順序立てて考える必要があります。直観は、考えるための大切な出発点です。しかし、直観がいつも正しいとは限りません。「こうだと思う」という直観から、「なぜそう言えるのか」という推論へ。このような思考の積み重ねが、根拠に基づいて考える力を育てていくのだと思います。これは他の教科の土台にもなるのです。

 

【問題2】日本とオーストラリアでは四季が逆転します。日本のクリスマスは雪の舞う冬ですが、オーストラリアのクリスマスは真夏です。サンタさんもサーフィンに乗ってやってきます。なぜ、四季は逆転するのでしょうか?

 

 

答:日本は北半球にあり、オーストラリアは南半球にあるから

「この答えで納得できますか?」何となくモヤモヤしたものが残りませんか? このようなときは、このモヤモヤ感が晴れるまでじっくり考えてみましょう。

 

≪考え方≫

  • 公式:①地軸は23.4°傾いている ②地球は太陽の周りを回っている(公転)
  • ①②を満たす、太陽と地球を書いてみる
  • 回っているので、4つくらい地球を書いてみる
  • (季節の変化)=(温度の変化)
  • 地球の気温は、太陽の日照面積できまる
  • じゃあ、日本とオーストラリアの軌道は?
  • ここに、日本とオーストラリアの逆転要素があるはず

ここから図解する!

すると、日本が夏のときには北半球で太陽の高度が高く、昼の時間も長くなる一方、南半球では逆になることがわかります。つまり、「北半球と南半球にあるから」という答えを、地軸の傾きと公転という知識を使って説明できるようになったのです。

これは、数学以外の学習にも共通しています。公式や知識を知っているだけでは、問題を理解したとは限りません。その知識をどのように組み合わせれば答えにたどり着くのか、筋道を立てて考えることが重要です。私は、問題を解けるようになることだけでなく、勉強を通じて「物事を順序立てて考え、その理由を他者に説明できる力を身につけてほしい」と思っています。こうした力は、論理的思考力や、現実の問題を図・数式などに置き換えて考える数学的モデリング(AIの登場により注目される概念)にもつながります。問題を解くことは大切です。しかし、答えを出して終わるのではなく、「なぜその答えになるのか?」を説明できるようになること。それこそが、数学を学ぶ大きな価値の一つだと考えています。


 

数学的な思考力は、数学以外の問題にも活用できる

この記事を読んでいる中学生や高校生の中には、サッカーをしている人もいるでしょう。当塾にも、サッカー部に所属している生徒が多くいます。そこで、次の問題を考えてみてください。

【問題3】あなたはサッカー部の選手として、大切な試合に出場しています。0対0のまま試合は終盤を迎え、PK(ペナルティーキック)を任されることになりました。あなたなら、どこに蹴りますか?

 

経済学者のスティーヴン・レヴィットは、サッカーのPKを統計的に分析しました。その研究に関連して紹介されているデータによると、ゴールキーパーが動く方向には次のような傾向がありました。

  • 左に飛ぶ:約57%
  • 右に飛ぶ:約41%
  • 真ん中にとどまる:約2%

このデータを見ると、真ん中に蹴るのが合理的に思えませんか? 実際、研究で観察されたデータでは、真ん中へのキックの得点率が左右より高かったのです。ところが、真ん中を狙う選手は多くありません。その理由の一つとしてレヴィットが指摘したのは、「失敗したときの恥ずかしさ」でした。

ここで思い出すのが、元日本代表の本田圭佑選手です。2013年、ワールドカップ出場がかかったオーストラリア戦。試合終了間際のPKで、本田選手はゴールのど真ん中に蹴り込み、同点ゴールを決めました。もちろん、本田選手が統計的な合理性を根拠に真ん中を選んだのかはわかりません。しかし、失敗すれば大きな批判を受けかねない場面で、自分の判断を貫いた姿勢には学ぶものがあります。今年(2026)のワールドカップでの解説も、大きな話題になりました。私は、その独自の視点や、試合状況を分析して率直に意見を述べる姿勢に、説得力を感じました。「自分で考え、根拠をもとに判断し、その判断を行動につなげること」本田選手の姿勢には、数学を学ぶうえで大切にしたいことと通じるものがあるように思います。


 

おわりに――数学を学ぶ、本当の意味

ここまで、数学における「理解」「定着」「活用」、そして「筋道を立てて考えること」について述べてきました。数学の学習では、公式を覚えたり、問題を繰り返し解いたりすることも大切です。しかし、それだけではありません。「なぜそうなるのか?」「本当に正しいのか?」と問い直し、根拠をもとに考えること。そして、自分で考えたことを、他者に説明し、実際の判断に生かしていくこと。私は、こうした力こそ、数学を通して身につけてほしいものだと考えています。数学を学ぶことは、単に正しい答えを求めることではありません。自分の頭で考え、納得できる根拠をもって判断し、行動できる力を育てることでもあるのです。

「なぜ?」を放置せず、自分の言葉で説明できる力を!

「言われた通りに解いているうちはできるのに、少しひねられると止まってしまう」――それは、知識が単なるスキルのままになってしまっているサインかもしれません。スマイルスタディでは、目の前の一問をただ丸暗記して終わらせるのではなく、図や条件を整理して「納得のいく答え」にたどり着くまでの道のりを大切にしています。モヤモヤをそのままにせず、自分の頭で考える楽しさを実感できる空間です。「自分で考える力を伸ばしたい」「公式の丸暗記から抜け出したい」とお考えでしたら、ぜひ一度、当塾の体験授業を受けてその指導に触れてみてください。

 

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