大学推薦入試(総合型/公募制)で受かる志望理由書

総合型選抜および公募制推薦と一般入試の面接のちがい

  • 総合型選抜および公募制推薦の面接

合格者を見つけるための面接です。だから、ありきたりで一般的な志望理由では合格できません。

  • 一般入試の面接

「消去法で〇〇師(看護師、教師、医師、…)の専科学部を受験した学生」を落とすための面接です。だから、大学が求める一定水準を超える志望理由を掘り下げることが必要になります。

 

面接について

志望理由書(提出書類)の有無

  1. 事前提出書類があるか?
  2. 事前提出書類がないか?

Ⅰ)事前提出書類に基づいた面接になります。提出書類はコピーして面接当日まで保管しておきましょう。(余白が出ないよう埋めること。)

Ⅱ)提出書類がなくても、必ず文章化して整理しておきます。『自分のことは自分自身もよくわかっていない』という事実を忘れないでください。

面接で聞かれる志望理由について

志望理由とは、あなた自身の「過去」「現在」「未来」を整理する作業です。面接では『未来→現在→過去』の順番に聞かれます。

  1. 過去… 高校で最も努力をしてきたこと、頑張ったこと、力を入れてきたことは何か?
  2. 現在… なぜ、その大学を志望したのか?(→その大学でなければいけない理由は?
  3. 未来… どのような(看護師、理学療法士、放射線技師、教師、保育士など)になりたいか?

できる限り1,2,3 がつながるような“ストーリー”をつくることが大切です。嘘や矛盾があってはいけませんが、事実を並べただけでは単なる願望になってしまいます。これでは志望の理由として説得力が生まれません。だから優先順位は(3未来→2現在→1過去)の順に整理していきます。

 

3つの項目(3,2,1)で重要な点は具体性である

例として.“医学部”の面接ならば『どんな医者になりたいですか?』-「3.未来」

  1. 世界中の人を救える医者になりたい
  2. 高齢者を支えることができる医者になりたい
  3. 高齢者の精神的サポートができる総合医になりたい

『A~Cのどれがいいと思いますか?』

具体性については(低A→B→C高)となります。具体性を上げるには「対象者の集合を狭める」「職業の専門領域を狭める」「得意分野を明確にする」という視点が必要です。どのような面接であれ、志望理由はなるべく“具体的”に書いていきましょう。

対象者の集合を狭める」とは『誰に、何を、どのように提供するか?』という視点における「誰に」の部分です。医者であれ、教師であれ、どのような専門職でも「誰に、何を、どのように提供するか?」という視点は非常に重要です。なぜなら、どんなに優秀な専門家でもすべての人に対応できる人はいないからです。だから、この部分に具体性が生まれると、面接官から「自分自身を客観視できている」という印象を与えることができます。逆に、この部分に具体性がないと「嘘ではないかもしれないが、現実的ではないな…」という印象をもたれてしまいます。

職業の専門領域を狭める」とは、「誰に、何を、どのように提供するか?」という視点における「何を提供できるか」の部分です。あらゆることに精通していれば理想的ですが、専門家の立場から視ると、大学生がすべての事をできるわけではないことを熟知しています。だから、いずれ現場に出る大学生には「自分ができること」を明確に設定しておく姿勢が必要です。ここに(自分自身が)現場に出ていく際の決意(=意思)が表れます。だとするなら、この「何を提供したいか」という意思と、あなた自身の過去がリンクすることで説得力が生まれますよね。これをアピールするのが志望理由書です。得意分野を明確にする」という部分が上記の専門領域につながっていきます。

 

「3.未来」を明確にした上で志望大学のちがいを考える

「2.現在」について、“設備をほめる”ような志望動機にはならないようにします。

例として.“医学部”の面接ならば…『本学を志望した理由は何ですか?』-「2.現在」

  1. 家から通学可能であり、アクセスがよいので貴学を志望した。(または、センターの結果で、ここがちょうどよいと思った。など)
  2. カリキュラムが充実しており、海外研修留学制度が魅力的である。雰囲気も自分にあっていると感じたので貴学を志望した。
  3. オープンキャンパスに参加し、在学生と積極的にコミュニケーションをとった結果、貴学の在校生のようになりたい。だから貴学を志望した。

面接官の印象として(悪A→B→C良)となります。だから、(C)のような実体験が無ければ工夫が必要です。

 

「2.現在」その大学でなければいけない理由を明確にする

そこで、重要な視点は(現在2→未来3)ではなく、(未来3→現在2)の順に考えることです。

例として.“医学部”の面接ならば…『本学を志望した理由は何ですか?』-「2.現在」

  • 〇〇大学の〇〇が魅力的であったので貴学を志望した。卒業後は、高齢者の精神的なサポートができる医者になりたい。(2→3)
  • 高齢者の精神的なサポートができる医者になりたい。だから、〇〇大学の〇〇という制度を最大限活用するつもりだ。これが貴学を志望した理由である。(3→2)

上と下で、どちらが面接官の印象が良いでしょうか?つまり、「その大学でなければいけない」理由をどちらに感じますか?

注意上記の「面接で聞かれる志望理由」の考え方はややテクニカルなことが多いと思います。だから、無理やりこじつけた「3未来」をつくろうとすると失敗します。感情や本音のともなっていない志望理由は、どんなにいい内容でも面接官にバレてしまうからです。自分が本当に感じたことの延長で「3.未来」を、具体性をもって再整理することが大切です。

 

「3.未来」の理由説明は実体験から掘り下げる

実体験や本音をもとに対象者を絞り具体的に考えていきます。

例として.“医学部”の面接ならば…

「3.未来」高齢者の精神的サポートができる医者になりたい

  • 『なぜ、高齢者の精神的サポートができる医者を目指したのか?』その具体的なきっかけを考える。
  • ここがとても重要です! なぜなら、ここにあなたの独自性あなたにしかない経験または他者との違いが出てくるからです。
  • これが、ありきたりなエピソードだと志望理由全体がありきたりなものになってしまいます。だから(嘘のない)ストーリーをつくることが重要になっていきます。

 

「1.過去」自分の過去をどのようにアピールするか

高校生時代の経験として、「部活と行事」と「オープンキャンパスで発見したことや学んだこと」を整理していくことになります。また、医療系であれば、看護体験や職場体験などオープンキャンパスの実体験と同様に整理しておきます。長期間の校外活動(ボランティア等)があれば、部活や行事と代替可能です。

  • 部活 → 入賞などの実績や結果が問われるわけではありません。「集団の中で、どのような役割を担い」「それが集団にどのように影響し(+の効果をもたらし)」「集団の中で何ができるようになったか」が問われています。(なぜなら、部活と職場は“目的達成のために集まったチーム”という意味では同じだから)つまり「(集団の中で)失敗から学んだ経験」で自分自身をアピールすることは可能です。
  • 行事 → 部活と同じです。集団の中での自分の役割を明確にしつつ、「できるようになったこと」や「できなかったが気づいたこと」などを具体的に整理していきます。
  • OCの参加 → オープンキャンパスで発見したことや学んだことを具体的に書いていきます。志望を決めたきっかけなどを整理することで「3.未来」に説得力をもたせるのです。

面接で「自己PRを1分以内にお願いします」という質問は多いです。部活や行事の話題は、この時に活用できます。必ず事前に整理しておきましょう。

 

志望理由書の書き方について

志望理由書は3段落または4段落構成が基本です。

第1段落→第2段落→第3段落を[(3未来)→(3の理由)→(2現在)→(まとめ)]の順に書いていくことになります。

構成は次のような形です。読み手が読みやすい構成を心がけてください。

  • 第1段落に「3未来」とその理由、第2段落で社会の現状と「2現在」、第3段落でまとめ
  • 第1段落に「3未来」、第2段落で「3未来」の理由と社会の現状と「2現在」、第3段落でまとめ

例として.“医学部”の志望理由書ならば…

・第1段落 

「3未来」医師不足が深刻な過疎地で、地域医療に貢献できる医者になりたい。

・第2段落 

「理由」地方の医師不足は深刻だと知った。「2現在」志望大学のOCで地域医療の重要性と総合医の必要性を知った。

・第3段落 

まとめと「3未来」への決意。

 

高倍率の公募制推薦ならば具体性のある志望理由書が必須

志望理由書の例(医学部)*実際の志望理由書です

 私は将来、地元県内でも医師不足が深刻な地域で、地域医療に貢献できる医師になりたい。〇〇県全体でみると医師の総数は増加傾向にあるが、偏在が加速しており、日本の縮図とも言える状況にある。本県の人口10万人当たりの医師数は197人で全国37位だった。私の祖母の話でも、病院の待ち時間は3,4時間を超えることもあり、地域医療の充実は急務である。

 私は貴学の実地研修プログラムに参加し、〇〇市の医師に話を伺う機会を得た。その医師は、地域医療でこれから求められるのは「総合医」であるとおっしゃっていた。総合医というのは、いろいろな病気をまんべんなく診ることができる医師のことで、欧米ではとても重要視されている。それが、日本に根づいてこなかった理由は、日本で専門医のキャリアが重視され、総合医が評価されにくい仕組みになっているからだとおしえてもらえた。しかし、これからは高齢化も進み、日常的な慢性疾患を幅広く診る総合医の重要性は過疎地において不可欠である。どうしても専門の治療が必要な場合は、専門病院を紹介し複数の病院が連携して治療するネットワークを作っていくべきだともおっしゃっていた。私もこのような総合医を目指したい。貴学の総合診療ネットワークのホームページの最初に、次のような言葉が掲げられている。

《「夢」と「情熱」。これが家庭医療学・総合診療のキーワード。不可能に思える君の大きな「夢」を私たちと共有しよう。私たちはそれを真面目に受け止められる。君の抑えられない「情熱」をここで発揮しよう。私たちはそれを許容する準備がある。》

 私も「夢」と「情熱」をもって総合医療に取り組み、医師不足の地域に貢献したい。以上が私の志望理由である。(703字)