前編のまとめ
🔻「わかる」と「できる」は別物です
「わかる」だけで問題は解けるようにならない。「わかったこと(=知識)」を手がかりに、自分で「解ける(=できる)」段階にもっていくことが大切。
🔻「わかる」ために必要なこと
- (その問題を解くための)前提となる知識が身についている(=暗記できている)
- 数学や理科なら「わかった」ことを図に表すことができる
- 国語、英語、社会なら、「わかった」ことを他の人に説明することができる
- 選択肢問題なら、正しくない選択肢の「正しくない理由」を指摘することができる
- わかるとは?
内容や説明に納得できた状態です。
- できるとは?
わかった内容をもとに、自分一人で正しい結論にたどり着けることです。
例えば、英語の文法や国語読解の選択肢問題なら、正しくない選択肢の「正しくない理由」をはっきりと答えることができるかどうかも含みます。知識(=わかったこと)をもとにして問題を解いていけば、なんとなくではなく、「これしかない」という確証をもって問題に答えることができるはずです。このような段階になれば、偶然ではなく自信をもって問題を解くことができ、再現性があるから忘れることも少なくなります。
問題2 次の英文の( )に適する語(選択肢)を1つ選びなさい。
I have lived there( ).
(ア)before (イ)ever (ウ)now (エ)together
答えは(ア before )です。簡単な問題かもしれませんが、「なぜ、(イ)(ウ)(エ)はダメなのでしょうか?」その理由をはっきりさせることができれば「できた」ということです。
(ア) before『(ある時間や出来事の)前に』
副詞,接続詞,前置詞として使われ、肯定文,否定文,疑問文のすべてで使用可能な単語です。英文の意味は「私は以前そこに住んでいた」ということですが、「私は以前からそこに住んでいる」という文章ならどのように変わるでしょうか?
→ I have lived there since before.
こんな感じですね。Beforeって意外と多様な単語ですよね…。
[選択肢の吟味]
(イ) ever『今までに』
疑問文や否定文に使う単語で、肯定文では使えないからダメです。では、肯定文で「今までに」という文を作るにはどんな表現に変えればいいでしょうか?
→ I have lived there until now.
「私は今までずっとそこに住んでいます」ならOKです。
(または、I have lived there so far. 「私は今までずっとそこに住んでいます」もOK)
(ウ)now『今』
現在完了『過去から現在までの流れ』にnowを使うのは不自然(時制の不一致)です。
I am living there now.
「今、そこに住んでいます」ならOKですね。
(エ) together『一緒に』
「誰と一緒なのかがわからない」ので英文として不自然です。では、どのように変えるとtogetherを使える英文になるんでしょうか? 少し考えてみてください。
→ My brother and I have lived there together.
「兄(弟)と私は一緒にそこに住んでいます」
- 自分が出した答えが正しい場合
→ 『できた』ということ
- 自分が出した答えが正しくない場合
→ 『できていない』ということ
答えが正しくない場合、『できていない状態 → できる状態』にもっていくには、「できなかった」理由を明らかにする必要があります。「わかった」つもりになっているだけで、ポイントになっている部分がつかめていないのかもしれません。または、ちょっとした段差につまずいているだけかもしれませんし、そもそも前提となる知識が足りていないのかもしれません。(前編 [問題1] がわかったという前提で)次の問題3を考えてみてください。
[問題3] 100m走をすると、AはBに10mの差をつけて勝ち、BはCに8mの差をつけて勝つ。AとCが100m走をすると、AはCに何mの差をつけて勝つか答えよ。
[誤答] 10+8=18 (m) よって、 18m(×) (正答:17.2m)
上の[誤答]はどこが間違えているのでしょうか? 少し考えてみてください。
問題文は短い文章ですが、この条件から上の「誤答が間違えている」根拠を見つけることができます。もちろん、1つだけではなく複数出るはずです。
[間違えている理由]
- BはCに勝つのだから、Bは100mを走っていなければいけない
- 上の誤答の図だと、Bは92mしか走っていない
- 「AとBが100m走り、BとCが100m走る」という文意なので、3人同時に走っていない
- つまり「AとBが走る→BとCが走る」ときの A と C の差が問われている
「できる」ためには、間違えた理由を明らかにすることが必要
つまり、A,B,Cは同時に走るのではなく、「AとB→BとC」と2回に分けて走ると読まなければいけません。間違えてうれしい人はいませんので、イライラしてしまうのもわかります。しかし、間違えたら多少時間はかかっても「正しくない根拠」を自分なりに考えてみましょう。この時間を取るかどうかが、応用力が身につくかどうかに直結するからです。
[問題3] 100m走をすると、AはBに10mの差をつけて勝ち、BはCに8mの差をつけて勝つ。AとCが100m走をすると、AはCに何mの差をつけて勝つか答えよ。
忘れることを前提にして、時間をあけて復習する
一度解いた問題も時間が経てば忘れてしまうものです。一度やった問題も(2日くらいの)時間を空けてもう一度解いてみましょう。それでも自力で解けるなら、もう確認する必要はありません。つまり、一度解いた問題も時間をあけてもう一度解き、定着しているか確認してながら次に進むようにしてほしいということです。
時間感覚をもって問題を解く
初めて解く問題は時間がかかります。間違えることもあるので、その理由を明らかにしていくと、それなりに時間はかかるものです。しかし、本番のテストで「できる」かどうかを確認する作業になったら、必ず時間をはかって解いてください。テストには制限時間があるからです。この点を見落としている人が多くいます。習得するための「できる」練習は時間をかけても構いません。しかし、本番のテストで「できる」かどうかを確認する練習は、時間感覚をもって臨んでください。日頃から、正確性と時間感覚をもって演習することが重要です。
「わかる→できる」に変える勉強法
🔻「わかる」と「できる」は別物だと意識する
「わかる」だけで問題は解けるようにならない。「わかったこと(=知識)」を手がかりに、自分で「解ける(=できる)」段階にもっていくことが大切である。
わかるとは → 内容や説明に納得できた状態
🔻「わかる」ために必要なこと
- (その問題を解くための)前提となる知識が身についている(=暗記できている)
- 数学や理科なら「わかった」ことを図に表すことができる
- 国語、英語、社会なら、「わかった」ことを他の人に説明することができる
- 選択肢問題なら、正しくない選択肢の「正しくない理由」を指摘することができる
できるとは → わかった内容をもとに、自分一人で正しい結論にたどり着けること
🔻「できる」ために必要なこと
- 「間違えた理由」や「正しくない根拠」を自分なりに考えてみる
- 間違えたときに試行錯誤できるかどうかが後の「応用力」につながる
- 忘れることを前提にして、時間をあけてもう一度復習してみる(できた問題に☑をする)
- 日頃から、正確性を意識し時間感覚をもって演習する(テストを想定した練習)