テーマ『過不足の問題』
まずは、次の4つの問題を解いてみてください。簡単なようで「あれ?」っと思う部分があると思います。
問題1
何人かの子どもにみかんを配るのに、5個ずつ配ると5個足りない。また、4個ずつ配ると2個余る。子どもの人数をX (人)として「5X-5=4X+2」という式は正しいか? 〇か×で答えよ。
問題2
何人かの子どもからみかんを集めるのに、1人から5個ずつ集めると5個足りない。また、4個ずつ集めると2個余る。子どもの人数をX (人)として「5X-5=4X+2」という式は正しいか? 〇か×で答えよ。
問題3
何人かの子どもからみかんを集めるのに、1人から5個ずつ集めると10個足りない。また、6個ずつ集めると20個余る。子どもの人数をX (人)として「5X+10=6X-20」という式は正しいか? 〇か×で答えよ。
問題4
何人かの子どもにみかんを配るのに、5個ずつ配ると10個足りない。また、6個ずつ配ると20個余る。子どもの人数をX (人)として「5X+10=6X-20」という式は正しいか? 〇か×で答えよ。
どうでしたか? 意外と難しかったのではないでしょうか。数学というより読解問題ですよね。「複雑な文章をいかに整理して考えるか?」という論理の問題と言えるかもしれません。そこに文章題の難しさがあります。複雑な論理を読み解くには、やはり図を書いてみるというのが重要です。
答 問題1:〇 問題2:× 問題3:〇 問題4:×
1次方程式の文章題
1次方程式はすべての文章題の土台になります。1次方程式が理解できれば「連立方程式の文章題」も解けることになるので、少し立ち止まって考えてほしい分野です。この分野は「なんとなくわからない…」という思いを誰しも一度は経験しているはずです。その理由は、文章の論理を見抜く点に難しさがあるからです。同じ表現なのにプラス(+)になったりマイナス(-)になったりしますよね。その代表的なものが「過不足の問題」です。今回はそこにフォーカスして考えていこうと思います。
【1次方程式の解き方】
①図を書く
→ どんな問題でも一度は図を書いて考えてみよう
②問題文の中で「何が等しくなるか?」を見つける
→ 等しくなるものは1つではない(例えば「子どもの人数」や「みかんの個数」など)
③何を(未知数)Xにするか決める
→ 式が立てやすい方の条件を考え、未知数をXにする
④等式をつくる
→ 何と何が等しいかを整理して立式する
⑤計算する
問題5 何人かの子どもにみかんを配るのに、5個ずつ配ると5個足りない。また、4個ずつ配ると2個余る。子どもの人数と集めたみかんの総数を求めよ。
- 問題5の解説
まずは図を書いてみましょう
子どもの人数をX (人)として
(みかんの総数)=(みかんの総数)
5X-5=4X+2
X=7
みかんの個数:5×7ー5=30
答 子どもの人数:7人 , みかんの数:30個
- 問題5の別解
みかんの個数をX (個)として
(子どもの人数)=(子どもの人数)
(X+5)/5=(Xー2)/4
4(X+5)=5(X-2)
4X+20=5X-10
X=30 (個)
子どもの人数:(30+5)/5=7
答 子どもの人数:7人 , みかんの数:30個
問題6 何人かの子どもからみかんを集めるのに、1人から5個ずつ集めると10個足りない。また、6個ずつ集めると20個余る。子どもの人数と集めたみかんの総数を求めよ。
- 誤答 子どもの人数をXとして
5X-10=6X+20
X=-30??
子どもの人数がマイナスというのはおかしいですよね。「どこが」「どのように」おかしいのでしょうか?
- 問題6の解説
何人かの子どもからみかんを集めるのに、1人から5個ずつ集めると10個足りない。また、6個ずつ集めると20個余る。子どもの人数と集めたみかんの総数を求めよ。
図を書いてみましょう
みかんの総数をX (個) として
(子どもの人数)=(子どもの人数)
(X-10)/5=(X+20)/6
6(X-10)=5(X+20)
6X-60=5X+100
X=160 (個)
みかんの総数は160個なので、
子どもの人数 (160-10)/5=150/5=30
答 子どもの人数:30人 , みかんの数:160個
- 問題6の別解
子どもの人数をX (人) として
(みかんの個数)=(みかんの個数)
5X+10=6X-2
X=12 (人)
みかんの総数は160個なので、
子どもの人数 (160-10)/5=150/5=30
答 子どもの人数:30人 , みかんの数:160個
文章題では「”何が等しいか”を見つけること」と「何を(未知数)Xにするか」が重要です。1次方程式の文章には比較されている2つの条件があります。文章を読んだら、考えやすい方の条件が使えるように未知数Xを決めるようにしましょう。問題6のように、文章がやや複雑な場合は、問われている値をそのままXにしない方がよい場合もあります。また、等式をつくる際に等しいものは1つとは限りません。だから「どちらの等式を考えた方がよいか」が重要で、そのためには「どちらを未知数Xにするか」を整理する必要が出てきます。それが判断できれば、どちらをXにしても正しい式が導けるということが理解できるはずです。そうなれば、どのような問題でも立式できるようになっていくと思います。
【練習問題】
問題7 クラスの生徒にりんごを配るのに、1人に4個ずつ配ると5個足りず、1人に3個ずつ配ると12個余る。生徒の人数とりんごの個数をそれぞれ求めよ。
解答)
生徒の人数をX(人)として
(りんごの総数)=(りんごの総数)
4X-5=3X+12
X=17 (人)
りんごの個数は
4×17-5=68-5=63
答 生徒数:17人,りんごの個数:個63
問題8 クラス会で長イスを何脚か並べた。生徒が1脚に5人ずつ座ると10人座れず、6人ずつ座ると2人だけ座った長イスが1脚できた。並べた長イスは何脚か求めよ。
解答)
*6人ずつ座ると2人だけ座った長イスが1脚できたので、(6人ずつ座ると)4人座れない
生徒の人数の条件が2つあるので
生徒数をX(人)として
(長イスの総数)=(長イスの総数)
(X-10)/5=(X+4)/6
6(X-10)=5(X+4)
6X-60=5X+20
X=80 (人)
長イスの総数 (80-10)/5=14(脚)
答 長イス:14脚
問題9 クラス会の費用を集めるのに、生徒1人から400円ずつ集めると1000円足りず、500円ずつ集めると2500円余る。このとき、生徒の人数とクラス会の費用をそれぞれ求めよ。
解答)
費用の条件が2つあるので
費用をX(円)として
(生徒の人数)=(生徒の人数)
(X-1000)/400=(X+2500)/500
500(X-1000)=400(X+2500)
5(X-1000)=4(X+2500)
5X-5000=4X+10000
X=15000 (円)
生徒の人数は
(15000-1000)/400=14000/400=35(人)
答 生徒の人数:35人,クラス会の費用:15000円