都立高校『推薦入試』の概要とポイント

都立推薦入試の概要

推薦入試は学力試験がなく、「調査書」「個人面接」「小論文」等の総合成績で合否が決まります。また集団討論を実施する学校もあり、昨年度は普通科で10校が実施しています(日比谷,西,北園,竹早,調布南,東大和南,篠崎,鷺宮,深沢,永山)。合格したら必入学での出願となり、(中学校の)校長の推薦が必要になります。実質的には担任の先生に「推薦入試を受験したい」旨を事前に伝え、3学年担任の総意で推薦の可否が決まるという流れです。『誰でも(推薦を)受験できるわけではない』という点は押さえておいてください。

また、推薦入試の募集人員は定員の20%と少なく、倍率は2~3倍と大半の高校で高倍率になります。学力試験がないから楽なわけではなく、「高い評定(通知表の結果)」「文章力」「アピールポイント」がなければ難しいことに変わりはありません。対策にも多くの時間を要することになるので、どうしても入りたい高校がある場合の「1度目のチャンス」という位置づけで臨むことがベストです。

・推薦入試で合格する生徒の割合:定員全体の20%

・都立推薦入試の倍率:例年2~3倍の高倍率

例(令和6年度): 石神井高校3.27 保谷高校3.16倍 小金井北高校2.63倍 清瀬高校2.43倍 など

3.16倍とは合格定員を100人とした場合、316人の応募者があったということ。倍率が高いほど合格しにくいという難易度の目安になる。

→ 倍率3.16=316人(受験者)÷100人(合格者) : 「3.16名に対して1名が合格するという目安の値」

・合否の判定

  1. 調査書(+自己PRカード)
  2. 個人面接
  3. 小論文
  4. (集団討論:実施する場合のみ)

を総合した成績で合否判定されます。

・推薦入試までのスケジュール

重要な点は私立の併願校(1つ以上)をしっかり取っておくことです。仮に、本試験が難しい結果になったとしても、私立の中で「ここなら第2志望として行きたい」学校を確保しておくことが重要です。高校入試の制度がわからない人も多いと思いますが、これから中学校で説明を受けることになるはずです。私立校は個別相談会を通じて、内申書(または模試結果)の点数等を考慮してもらい(その私立校の)一般入試を受験することで、合格をほぼ約束してもらうという制度(東京なら私立併願優遇、埼玉なら確約)もあります。ただし、個別相談会は事前の申込が必須であり、学校の担任の先生にも事前に併願優遇を利用するということを伝えておく必要もあります。実質6月から説明会等が始まるので、模試や学校行事、定期テスト等のスケジューリングが重要になります。

5~6月

興味がある都立高校のウェブサイトを比較して(3つ以上)学校ごとの“ちがい”を知る

*模擬試験[Vもぎなど] について:「申込方法・日程の確認」→「高校説明会,模試,学校のテストなどのスケジューリング→「その都度申込手続き(年間5回くらいは受けた方がよい)」

*受験する私立高校の情報をとっておく → 学校説明会の予約開始時期の把握説明会日の確認

7~8月

私立/都立の学校公開・見学会・学校説明会等の参加(学校によって時期は様々、要予約も多数

私立受験校の“調査書点”の条件(模試結果を加味される場合もある)を「大まかにでも」確認しておく

9月

私立/都立の文化祭等の参加+学校の三者面談

*都立入試に関する説明会

・「都立高校入学選抜実施要綱説明会」(ウェブサイト上で実施)実施予定:9月下旬

・「都立高校合同説明会 [→ 事前申込み必要] 」実施予定:10月下旬(日)~11月上旬(日)

10~11月

私立高校個別相談会開始→私立併願校をおさえておく

入試問題説明会+学校の三者面談(都立推薦受験校確定)

12月

私立高校個別相談会(ここで確約等 [併願優遇受験] を確認する面談を実施)

1月

推薦入試(昨年度)願書受付期間:1/12~18 → 本試験の入試日:1/26,27 → 合格発表:2/2

一般入試[一次](昨年度)願書受付期間:1/31~2/6 → 本試験の入試日:2/21 → 合格発表:3/1

私立入試(例年)願書受付期間:1月上旬 → 本試験の入試日:1月下旬 → 合格発表:翌日以降

 

推薦入試の変更点「男女合同選抜の実施」

男子と女子でそれぞれ別々に定員枠を定めていた「男女別定員制(令和5年まで)」から、男女の枠を撤廃し性別に関係なく上位成績者から合格が決まる「男女合同選抜の実施(令和6年から)」へ変更されました。仮に、試験結果の成績上位者がすべて女子であっても男女の枠が撤廃されるので、合格者がすべて女子という場合もあり得るということです。全体的な傾向を視ると、推薦入試で合格している割合は女子のほうが多いようです。その理由として考えられることは「(中学3年次)女子の発達段階の早熟さ」です。皆さんも中学生の頃を思い出すと、男子よりも女子の方が「大人だな」と感じることは多かったはずです。発言の抽象度や人間関係の複雑さなど、やはりこの時期は女子の方がやや早熟な部分はあるように感じます。推薦入試では特に多様なコミュニケーションスキルが求められますので、その結果が入試に影響しているということだと思われます。

合否を左右する3つのポイント

  1. 調査書(+自己PRカード)
  2. 個人面接
  3. 小論文
  4. 集団討論:実施する場合のみ

①調査書について

調査書とは内申書(または内申点)と呼ばれるもので、学校の通知表(例.英語4、数学2、体育5など)の成績です。記載される評定は東京都の場合は中学3年次のみです。ただし、3年生の成績は、たいていの学校で1,2年次の成績を考慮してつけているようです。3年次だけで大幅に成績が上がることは少ないので1,2年から成績を上げておく必要があります。調査書点は9教科の5段階45点満点の評定(または9教科の観点別評価)が使用されます。また、各学校で調査書点、個人面接点、小論文(作文)点の割合は異なるので評価基準を整理しておく必要があります。都立推薦入試では調査書点の比率が最も高く50%程度となっており、面接、小論文・作文の比率は学校によって変わります。

令和6年度実施例の評価基準

【石神井高校】調査書400点(50%)+個人面接200点(25%)+作文200点(25%)=計800点(100%)

  • 例)9教科オール4なら…9教科×評定4=36点  調査書点:320点=400点×36点÷45点 → 調査書点だけで40%取れているので、面接120点,作文120点で 総合点560点(70%の得点率)

【保谷高校】 調査書500点(50%)+個人面接200点(20%)+作文300点(30%)=計1000点(100%)

  • 例)9教科オール4なら…9教科×評定4=36点  調査書点:400点=500点×36点÷45点 → 調査書点だけで50%取れているので、面接120点,作文180点で 総合点700点(70%の得点率)

【清瀬高校】 調査書450点(50%)+個人面接220点(24%)+小論文230点(26%)=計900点(100%)

  • 例)9教科オール4なら…9教科×評定4=36点  調査書点:360点=450点×36点÷45点 → 調査書点だけで40%取れているので、面接130点,小論文140点で 総合点630点(70%の得点率)

 

合否を左右する3つのポイント「②個人面接」「③小論文」は別の記事で紹介させてもらいます。